どんな本?
冴えない国語教師が、未来を変える為に、粉骨砕身します
果たして、冴えない国語教師に、そんな芸当が可能なのか、、
あらすじ
中学の国語教師・檀は猫を愛する奇妙な二人組が暴れる小説原稿を生徒から渡される。
https://isakakotaro.ctbctb.com/books/%E3%83%9A%E3%83%83%E3%83%91%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%82%B4%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%88/
さらに檀は他人の未来が少し観える不思議な力を持つことからサークルと呼ばれるグループに関わり始め……。
作家生活20周年超の集大成となる一大エンターテインメント長編!
3point紹介
要点を3つに絞って紹介します
Point① 今度の『能力』は、ちょっとだけの、未来予知
主人公は中学教師の檀。三十代くらい。
彼は、あるコトを除けば、普通の国語教師です。
そのあるコトとは。。
人の、ちょっと先の未来が、ちょっと視えるんです。
Point② ペッパーズゴーストとは、手法のこと
ペッパーズゴーストとは、本来は、舞台などで使われる演出手法のことを意味します。
照明とガラスを使って、別の場所に存在するものを、観客の前に映し出す、というものです。
要るするに、何が起きるかというと、
『本来そこにないものが、別の隠れた場所に存在するものが、あたかも目の前にいるかのように感じる』という現象を起こせるんです。
それを、、ペッパーズゴーストを、、舞台演劇ではなく、、小説で実現しようとしたら、、?
ど、どうなるんすか、、!?
Point③ 未来が視えたら、どうする?
未来が視えてしまったら、どうしますか?
と、言うか、嬉しいですか?? 未来が視えるのって。
見たい未来が視えたら、やりたい放題ですよね。たとえば、ギャンブルとか全部勝てちゃうかも。
でも、檀の場合は違いました。
視える未来は、あくまで他人の未来。しかも、見たいタイミングを自由自在にコントロール出来るわけでもない。
見たい未来を視ることが出来ないんです。
つまり、、見たくない未来も、、視えてしまうんです。。
もし、凄惨な事故が起きる未来が視えてしまったら。
「事前に分かっていたって、僕にはどうにも出来やしない」と、諦められますか?
檀は、「救える未来は、救いたい」と、思ってしまいました。
その時から、檀を取り巻く環境が一変します。
【感想文】困ったときは、ヘディングッッ!!
ヘディングしなさい、ヘディング、ヘディング
母親に「ヘディングしなさい」と言われた経験はありますか。
サッカー少年ならさておき、普通、無いですよね。
でも、檀の母親は言うんですよ。ちなみに、檀はサッカー少年だったわけではありません
一体、『ヘディング』とは、何を指すのか。どんな時に『ヘディング』を使うのか。
檀ママは、頭を使うコトを、『ヘディング』と言ったんです。
窮地だ、、どうすればいいんだ、、有効な打ち手は無いのか、、
頭を悩ます状況で、檀ママは言います。
ヘディングしなさい
頭を使えってことです。よく考えてみろってアドバイスなんです。
ヘディングも、窮地に追い込まれた時も、頭を使うことは一緒だから、ということなんですけども、、伝わってますか。僕は書きながら不安になっています。
でも、なんかイイんですよね、、こうゆう言い回しが伊坂作品よく出てくるんですけど、そこも魅力の一つだな、なんて思ってます。
本作、もう一つの魅力が、ダークヒーローの存在です。これも、伊坂作品の特徴だよなあ、と読むたび思います。
ダークヒーローというと、カッコ良すぎる気もしちゃいますが
今回は、『ネコジゴハンター』の二人組。アメショーとロシアンブル。
この2人抜きに、本作を語ることは出来ません。
彼らの存在自体が、タイトルでもある『ペッパーズ・ゴースト』に繋がる、キーパーソンです。
ダークヒーローというだけあって、真っ当では無いことを、彼らは生業にしています。
しかし、気まぐれでやってるわけではありません、彼らの正義が、ポリシーが、ミッションがあって、やっています。
ほんで、運動能力が高い。
だから、ダークヒーロー
そして、彼らのいちばんの魅力が、2人の個性のアンマッチぶりです。
ロシアンブルは、病的なほどに悲観的。一方、アメショーは、見ている方が心配になるくらい楽観的。
「絶対上手くいかん二人組やん、、」かと思えば、これがそうでも無いんです。
本作は、ヘディングという不思議な言い回しや、ネコジゴという個性的なダークヒーローに出会える小説となってます。
当然、ストーリーはめちゃめちゃおもろいです
伊坂マジック、今回も炸裂してます
でも、僕の心に残っているのは、ヘディング。
ヘディング。僕も積極的に、ヘディングしていこうと思います。
(おわり)