どんな本?
少年少女たちが悩み、心に傷を抱えながらも”友だち”と付き合っていくお話です
短編集です
苦しみながらも一生懸命生きる主人公たちの姿は、読んだ人全員に必ず刺さります
あらすじ|
わたしは「みんな」を信じない、だからあんたと一緒にいる――。足の不自由な恵美ちゃんと病気がちな由香ちゃんは、ある事件がきっかけでクラスのだれとも付き合わなくなった。学校の人気者、ブンちゃんは、デキる転校生、モトくんのことが何となく面白くない……。優等生にひねた奴。弱虫に八方美人。それぞれの物語がちりばめられた、「友だち」のほんとうの意味をさがす連作長編。
引用:重松清 『きみの友だち』 | 新潮社 (shinchosha.co.jp)
3point紹介
要点を3つに絞って紹介します
Point① 舞台は『学校』
主人公は少年少女たちです。周りの”友だち”との関わりあいに四苦八苦しながらも、それでも友だちと過ごす学生時代が描かれます。
Point② クラスに一人はいた『アイツ』が主人公
学生時代を振り返ってみると、仲が良かった友だちや個性的なクラスメイト、密かに思いを寄せていたあの子…… 色んな子たちがいたことを思い返します。そんな風に振り返った時に思い出すクラスに一人はいた”アイツら”がこの物語の主人公なんです。
・いつ話しかけても、つっけんどんな態度を取っていたアイツ
・クラスで一番目立つギャル、の横にいつもいてギャルのご機嫌取りをしていたアイツ
・学校を休みがちだったアイツ
・転校してきてクラスに馴染めずに浮いていたアイツ
・部活でエースとして活躍しているモテる彼、と仲良くしているけどずっとベンチだったアイツ
いろんなアイツが出てきます。
「こんなやつ、俺が通っていた小学校にいたなあ」と懐かしくなる人もいれば、もしかすると、読みながら当時の自分を重ねてしまった方もいるのではないでしょうか。
そんなアイツらが、一生懸命に生きた青春時代がここにあります。
Point③ 学生時代における『友だち』とは
学生生活のほとんどの割合を占めると言っても過言ではありません。『友だち』は重大かつ欠かすことが出来ないものとして扱われることが多いです。それはこの物語の中においても同じです。
友だちとの付き合い方、自分自身のあるべき姿について考えさせられる一冊です
【感想文】あの頃の喧嘩を思い出す
読んでいると、子どもの頃に起きたあれこれを自然に思い出してしまう小説です。当時の僕はどんな風に学校で過ごしてたかな…… と登場人物と自分を重ねながら読んでいました。
特に友だちと揉めた時のことはよく覚えているものです。
あの時、もっと違う話し方が出来たかもしれない とか、
あの時、仲直りしていれば今も関係は続いていたかもしれない とか。
喧嘩して、友だちから傷つけられたり、逆に友だちを傷付けてしまったり。
全力で『学生』をしてきたあなたにも、思い当たる節があるのではないでしょうか……
僕もこの本を読んでいると、自然と小学生の頃の自分を思い出しました
埋もれていた昔の記憶が、ふわ〜と浮かび上がってきます。
「誰にも言わんとって!」と僕の秘密を教えた友だちが、翌日にはその秘密をクラス全員に触れ回っていたこと。
『些細な何か』に僕が腹を立てて、いつの間にか口を聞かなくなってしまった友だち。
肝心の秘密が何だったのか、どんなことに腹を立てたのかはもう思い出せないですが、今でもその時の感情だけはくっきりと覚えています。
小説の中では生々しさのあまり、胸がざわついてドキドキが止まらないシーンもありました。
その一例として作中のシーンを一つ抜粋して紹介します
登場人物は淑子。
淑子と仲の良かったある友だちが、あることをきっかけに今までの呼び名「トコちゃん」を『淑子ちゃん』に変える場面があります。
たったそれだけ、呼び方が少し変わっただけなんです。
でも、それだけなんですけど、もう今までの関係ではないということが痛い程伝わってきます。
なんだかそのシーンの表現はすごくリアルでグッときました…… でも、だから面白いんです。
終始ミステリーとはまた違うドキドキを感じながら読みました。
全世代の方におススメです!
学生にとっては現在進行形の友だちとの関係を見つめなおすキッカケになるし、大人にとってもあの頃を思い出して胸が痛くなったり、封じ込めていた昔の出来事の解釈が変わったりするいい機会になるかもしれません。
他にもおすすしたい青春モノを置いておきますので良ければ是非読んでみてください!
それでは(^^)/