どんな本?
孤独な少女 更紗と、孤独な男子大学生 文が出会います
二人はしあわせでした、でも、すぐに引き離されました
そして二人はまた、不幸になりました
強烈に胸を締め付けられる作品です…
何度も災難が二人に降りかかってきます
二人は、二人だけのしあわせを手に入れられるのか
あらすじ
最初にお父さんがいなくなって、次にお母さんもいなくなって、わたしの幸福な日々は終わりを告げた。すこしずつ心が死んでいくわたしに居場所をくれたのが文だった。それがどのような結末を迎えるかも知らないままに――。だから十五年の時を経て彼と再会を果たし、わたしは再び願った。この願いを、きっと誰もが認めないだろう。周囲のひとびとの善意を打ち捨て、あるいは大切なひとさえも傷付けることになるかもしれない。それでも文、わたしはあなたのそばにいたい――。新しい人間関係への旅立ちを描き、実力派作家が遺憾なく本領を発揮した、息をのむ傑作小説。本屋大賞受賞作。
引用:流浪の月 – 凪良ゆう|東京創元社 (tsogen.co.jp)
3point紹介
要点を3つに絞って紹介します
Point① 更紗と文の出会い
物語の主人公は更紗と文。更紗が小学生、文が大学生の頃に二人は公園で出会いました。
孤独だった二人の距離はすぐに縮まりました。でも、その距離自体が問題でした。二人はすぐに引き離されてしまいます。
Point② 再会しても、近づかない距離
更紗は文と再会する日を強く願っていました。ある時その願いは叶ってしまいます。更紗が訪れたカフェのマスターが、文だったんです。
しかし更紗は文に話しかけられません。一方、文も更紗に気付いている素振りを見せません。二人が離れ離れになってしまったあの出来事があったからです。
Point③ それでも一緒にいたい
それでも、更紗はまた文のそばにいたいと思いました。
更紗のその思いは世間の誰にも理解されることはありません。更紗と文の関係を、世間は一生認めることはありません。
倫理的に絶対に間違っているから。そんなこと、当事者同士で、あり得ないから。報道されたことだけが真実で、配慮されるべき背景など存在するはずない。
絶対的な悪と完全な被害者だけがそこに存在している。
それでも、どれだけ世間の声と反対方向に進もうとも、更紗は文のそばにいることを望みました。
小学生と大学生だったあの頃に止まってしまった時間が、再び動き出します。二人が辿り着く先とは……
【感想文】ほんとうの事を世間は知らない
終始ハラハラが止まらない展開の連続、すごい小説でした……
更紗と文、二人の関係性の複雑さ、そして二人が抱えてきたもの、それを一言でまとめてしまう事は出来ません。
しかも世間という何も知らない外野が、一方的に二人の関係の是非を問う事なんて、本当は、もってのほかなはずなんです。
しかし……世間は恐ろしいんです。
でも他人事では無いとも感じています。仮にこの小説で起きた事と同じような報道を見聞きしたら、この本に出てくる世間と同じような反応を私もしてしまうかもなあ、と読み終わった今でも思います。
それでも、その時に世間が振りかざす意見は絶対じゃないんです。
ここが大事なんすよね……
面白かったです!今まで読んだことが無いパターンの小説でした。
特に途中、更紗が大人になって以降の場面は何度も食らいました。
ああ、このまま進むとまずいんじゃないかしら…
と、更紗を待っている展開が想像出来てしまう瞬間が多々あり、その度にハラハラして、そしてその後グッと胸を締めつけられる……という事を繰り返しながら読んでました。
読んで悔いのない一冊です。ぜひぜひ(/・ω・)/