どんな本?
佐和子の家は4人家族ですが、普通とちょっと違います
佐和子の学生生活は問題ばかり
いろんな人との出会いと別れを繰り返しながら、佐和子は成長していきます
全世代におすすめです!
あらすじ
大きなものをなくしても、まだあった、大切なもの。
とっても切なくて、ちょっとおかしくて、あったまる。いま最注目の作家が放つ、心にふわりと響く長編小説!
父さんが自殺を失敗したときも、母さんが家を出たときも、朝は普通にやってきた。そして、その悲しい出来事のあとも……。
泣きたくなるのはなぜだろう?優しすぎるストーリー。第26回吉川英治文学新人賞 受賞
『幸福な食卓』(瀬尾 まいこ)|講談社BOOK倶楽部 (kodansha.co.jp)
3point紹介
要点を3つに絞って紹介します
Point① ちょっとイビツな4人家族
佐和子の家は4人家族です。しかし、いわゆる普通の家族とはちょっと違った事情をみんな抱えています。
佐和子には容量の良いイケメンな兄 直ちゃんと、生真面目な父さんと、気立ての良い母さんがいます。全員が、全員と仲良し。一見普通に仲の良い家族です。
ですが、母さんだけは別居していました。つまり、三人暮らしと一人暮らしです。この不可思議な生活にはもちろん理由がありました。
父さんが自殺未遂をしたことがきっかけでした。
それは決して誰かのせいで起きたものではありませんでした。でもその事件を境に母さんは元の母さんではなくなってしまいました。元の精神バランスが保てなくなったのです。
父さんと、家族と、一緒に生活を続けることが出来なくなった母さんは家を出ました。
こんな書き方をすると、とても暗い過去のように思えます。確かに明るくはない出来事でしたが、今の4人はそれを乗り越えて、穏やかに暮らしています。
そんなわけで普通とはちょっと違った家族関係が継続しています。
三人暮らしと一人暮らしに世帯が別れましたが、別に仲が悪くなったわけではないので、母さんはよく家に来ます。
どうゆうこと?
そんな、不思議な家族の長女、中原佐和子が主人公です。
Point② トラブル連続な学生生活
学校生活の悩みのメインは、残念ながら友達関係にあることが多いですよね。今思えばあの頃はイベントの連続でした。
「ちょっと、イイな」そんな風に思っていた子が転校していなくなっちゃったり。
気になっている子に対して、つい、些細な嘘をついてしまって、嫌われてしまったり。
兄が、訳の分からないギャルと突如付き合っちゃったり。
朝の15分の合唱練習を、クラスの誰一人も、真面目に取り組んでくれなかったり。
ただ学校に通っているだけなのに、日々色んなことが佐和子の身の回りで起きます。
どれも、取り上げるには些細かもしれません。しかし、佐和子にとってはどれも大事なんです。
そんな次々と起こるトラブルを佐和子は乗り越えられるのか……
Point③ 出会いと別れを繰り返して成長していく
佐和子は、いろんな人との出会いと別れを繰り返しながら、学生生活を送ります。
転校していったアイツ。中学で出会ったアイツ。直ちゃんが連れてきたアイツ。
どれも魅力的な登場人物ばかりですが、紹介はこの辺で
ぜひ本書を読んで確かめてみてください
佐和子の人生を鮮やかにしてくれる素敵な出会いもあれば、「もう立ち直れない」と感じてしまうほど非情な別れもあります。
そんな風に人との交流を重ねながら佐和子は成長していきます。
【感想文】『幸福な食卓』の意味を考える
「幸福な食卓」とは。
幸福な食卓とは、どうゆうことなのでしょうか、、
作中、佐和子はたびたび壁にぶつかります。
それは友人関係だったり家族の事だったりするのですが、必ずそんな時美味しそうなご飯が出てきます。
食卓を囲むシーン、めっちゃ美味しそうなんです……
生クリームそば、試した方もいるのでは??
どんなに落ち込んだ時でも、美味しいご飯は美味しい。そんな、素敵な食事で心を救ってくれる食卓、それって幸福な食卓だよね。
一読して、そんな風に思った時もありました。しかし、私は気付きました。
そうじゃない…ッッ!!
「美味しいごはんを食べて元気になってよかったね」そんな意味ではないと思ったんです。
人生はいろんなことが起こります。それこそ、もう立ち直れない。そう思ってしまう程の出来事だってあるかもしれません。
しかし、どんな事が起きても、必ず次の日はやってくる。そして朝になれば、食卓には父さんと直ちゃんが座っている。あと時々母さんも座っている。テーブルにはいつもと変わらず、ご飯がある。
そして佐和子が話したい時も、話したくない時も、みんな自分勝手に話をする。どんな事が起きた時でも。
こんな食卓が側にある。
それこそが幸福な環境なのでは…… これこそが、幸福な食卓なのではないか!!
そう思ったんです。(伝わって欲しい!!)
食卓は絶対にいつも佐和子の側にあって、佐和子に寄り添ってくれます。
その凄さ、貴重さに、私も学生時代に気付く事ができたらもっと良かったかもしれない。
大事な事ほど、だいたいその時には気付けないものです
時間が経って、取戻しがつかなくなってから、やっと気づきます
同じように青春時代を描いた作品、重松清の「きみの友だち」も合わせて紹介します。幸福な食卓とはまた毛色が違いますが名作です。必ず刺さります。
ぜひ読んでみてください!(゚∀゚)