ミステリ

辻 真先「たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説」|あらすじと読書感想文

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ミステリ
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あらすじ

昭和24年、ミステリ作家を目指しているカツ丼こと風早勝利は、名古屋市内の新制高校3年生になった。旧制中学卒業後の、たった一年だけの男女共学の高校生活。
そんな中、顧問の勧めで勝利たち推理小説研究会は、映画研究会と合同で一泊旅行を計画する。顧問と男女生徒五名で湯谷温泉へ、修学旅行代わりの小旅行だった──。
そこで巻き込まれた密室殺人事件。さらに夏休み最終日の夜、キティ台風が襲来する中で起きた廃墟での首切り殺人事件! 二つの不可解な事件に遭遇した勝利たちは果たして……。

著者自らが経験した戦後日本の混乱期と、青春の日々をみずみずしく描き出す。『深夜の博覧会 昭和12年の探偵小説』に続く、“昭和ミステリ”第2弾。

*第1位『このミステリーがすごい! 2021年版』国内編 
*第1位〈週刊文春〉2020ミステリーベスト10 国内部門
*第1位〈ハヤカワ・ミステリマガジン〉ミステリが読みたい! 国内篇
*第4位『2021本格ミステリ・ベスト10』国内篇

たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説 – 辻真先|東京創元社 (tsogen.co.jp)
  • 時代は、日本敗戦直後 舞台は、復興最中の愛知県名古屋市
    そこに、高校三年生を迎える男女5人 彼らが物語の主役です
  • 急速に欧米の文化が流れ込んできて、右往左往する日本人たち
    5人組は混乱真っ只中の青春時代を駆け抜けます
  • そんな彼らは、推理小説研究部/映画研究部に所属しています
    顧問の粋なはからいで、合同合宿を敢行することに
    その修学旅行で訪れた地で、あろうことか、彼らは立ち会ってしまいます
    第一の事件『密室殺人事件』の現場に、、、

感想

謎解き セツナイ

学生には刺激的すぎる!殺人事件との遭遇

時は終戦直後、舞台は日本です。
新制高校が始まり、男女共学制が導入されました。

そんな時代の変わり目、大人たちがバタバタと慌てふためく中、青春を謳歌する奴らが愛知県は名古屋市にいました。

風早、大杉の男子二人神北、薬師寺の女子二人、高校三年生であり、
推理小説研究部(以下、推研)/映画研究部(以下、映研のメンバーです。
本作のメインキャストでもあります。

時に、主人公である風早は部室にて、推理小説を鋭意執筆中です。

そこに、彼らの部の顧問をしている、イケてる女性教師、別宮一人の女生徒を連れて部室にやって来ます。

その女生徒は転校生であり、咲原といいました。端的に説明すると、彼女はマドンナです。

マドンナも新たに部に加わって、生徒5人、教師1人の計6人を軸にして、物語は進みます。

そんな彼らは、目下中止になってしまった修学旅行の話題で持ち切りです。

別宮先生は、残念がる生徒諸君の為に、推研/映研の合同研修合宿という名目で、温泉旅館への旅行を企画します。なくなってしまった修学旅行の代わりという事です。

顧問含めて、男女6人で向かう温泉旅館。

風早は、マドンナ咲原のことで頭がいっぱい!

学校は、年頃の男女がひとつ屋根の下などけしからん!と怒り心頭!

そんな、ドキドキ、ワクワクの研修合宿。

…しかし、彼らを待ち受けていたのは、甘酸っぱい青春ではありませんでした。

風早たちは、第一の事件、『密室殺人事件』の現場に出くわしてしまいます。

※ここより下は、すこしだけネタバレを含みます※

明らかになるマドンナの秘密、そして、二つ目の殺人事件

研修合宿でショッキングな体験をした学生諸君。

可哀そうに、日常に戻ってきても、まだまだ刺激的な日々は続くのです。

風早はある場所で小説の闇市が開かれることを知ります。

そこは、幼い頃から姉に「近寄らないように!」と命じられた地区の近くでした。

推研代表、推理小説には目が無い風早は、この噂に飛びつきます。
風早は姉の教えを破り、その闇市へと向かいます。

そこで、少年風早は、同級生かつマドンナである咲原と偶然出会います。

そして風早はあることを知ってしまいます…

もし自分が風早だったらと思うと、胸が締めつけられました…

しかし、これはまだ序の口。

推研/映研の5人は今年、最後の高校生。LJKLDKというやつです。

卒業制作を兼ねて、学園祭で提示する制作物『スチール写真を並べたミステリドラマ』の作成に取り掛かっていました。

スチール写真を並べて…? なんじゃそれは…?

って思いますよね

それは、読んだら分かります。

夏休みの最終日、別宮先生、風早たちはドラマ撮影のために廃墟を訪れます。

彼らは気合十分で、その気合には天気までもが味方しました。

良い流れで撮影は進み、クランクアップ!
後は帰るだけのはずでした。

小道具などの後片付けの最中に、ソレは突如、彼らの目の前に姿を現しました。

”ナマクビ”です。

バラバラになった遺体が、どういう訳か、彼らの目の前にありました。

第二の事件、『バラバラ殺人事件』です。

どうゆう訳だか巻き込まれてしまう風早たちは、犯人を突き止めることが出来るのか。。

読み終えて

いうなれば、レトロ推理小説。

昔ながらの、という意味です。
そういう意味だと、王道ミステリ、とかの表現でも良いのですが(本の帯にも書いてましたし)、あまりこの言葉を濫用したくないな、という思いがありました。それで、こんな書き方です。

面白かったですね~

読み終えたからこそ思うのは、

「確かに、読者として推理することが出来たな…」

という事です。

何を言ってんだ、という方もいるかもしれませんが、怒らないでください

本文に、作者から読者に向けた(挑戦状、ならぬ質問状が提出されていたからこんなことを言っています。

それでも、はてなマークが浮かんでいる方々。
口を開けていてもご飯は降って来ません。読んでみて下さい。

ただ… 私の実力では、一周した程度では、本書内に散りばめられたヒント、推理のかけら達に気付くことは出来ませんでした。最後の種明かしを読んで、それから読み直してからです。

あーら、不思議 °˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°

あちらこちらに、事件解決のタネがばらまかれているのですよ。

もっとね、

「解き明かしてやろう!!」

という具合に、腰を入れてこの小説と向き合っておけばよかったと、ちょびっと後悔です。

読み終えた瞬間に、速攻で1Pに戻りたくなるこの読後感も、この小説を読み終えたからこそ、という感じですね。

何を言ってるんですか…

… またまた、そんな声が聞こえますね。

繰り返しますよ。

それはね、この小説を読んだら分かります。|д゚)

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