あらすじ
九州博多付近の海岸で発生した、一見完璧に近い動機づけを持つ心中事件、その裏にひそむ恐るべき奸計! 汚職事件にからんだ複雑な背景と、殺害時刻に容疑者は北海道にいたという鉄壁のアリバイの前に立ちすくむ捜査陣……。列車時刻表を駆使したリアリスティックな状況設定で推理小説界に“社会派”の新風を吹きこみ、空前の推理小説ブームを呼んだ秀作。
松本清張 『点と線』 | 新潮社 (shinchosha.co.jp)
- 海岸に並ぶ、男女の情死体 九州で起きたとある心中事件が物語の主題です
- 一見すると、ただの心中事件
しかし地元刑事の鳥飼は引っかかります 「どうも、怪しい…」
そこに、東京のシゴデキ刑事、三原も加わり、事件の真相を追います - 三原が疑うのは、ハンサムやり手オジサン、安田
どう見たって、完璧に出来上がった安田のアリバイを崩すことが出来るのか
はたまた、安田は”シロ”なのか…
感想
ドキドキ 謎解き ゾワッ
物語の始まりは、海岸に並ぶ男女の死体
九州は博多、香椎海岸で男女の情死体が見つかるという、心中事件が起こります。
これが物語の軸です。
一見すると、何の変哲もない心中事件。
しかし、現場に立ち会った地元刑事の鳥飼は考えます。
調べたところ、この二人はどうも、この地に縁もゆかりも無い
何故、この地を最期に選んだのだろうか
鳥飼は一人、亡くなった2人の事、当日の足取りを調べ始めます。
すると、気になる点が次々と見つかる。
しかし、どれも取り上げるには些細なものばかり。
警察内でも、心中事件で片付けようという風向きは変わりそうにありませんでした。
組織とは、一人の意見では何も変わらないもんですね、いつでもそうです
そうして、事件の着地点が見えた時のことです。
東京からシゴデキ エリート刑事の三原がやって来ます。
三原もまた、この心中事件に関心を寄せる一人でした。
鳥飼は、自身が感じた違和感を三原に伝え、あとを託します。
繋がった”線”にしか見えない
各地に”点”々と残された安田のアリバイ
我ながら、上手く書けているのではないでしょうか。。|ω・)☝
さておき。
三原は、この心中事件が、今東京で世間を騒がせている『省庁の汚職事件』と何か繋がりがあるのではないか、そう考えました。
亡くなった男が、その汚職事件において重要な役割を担っていたと疑われていた為です。
そして三原は、心中事件と汚職事件を繋ぐところに、やり手オジサン 安田がいる。
心中事件に、安田の作為が加わっていることを直感します。
一個、気になりだすと、何でもかんでも気になりますよね
しかし… 安田と事件を結びつけることが出来ない。
手がかりが出てこないのです。
事件当日、安田には完璧なアリバイがありました。そして、そのアリバイを証明する目撃者たちも揃っていました。
各地で点々と残された安田の行動履歴は、繋がって一つの線となり、完全に安田がシロであることを証明していました。(ウマイ…)
どうやっても、心中事件に関わることは不可能にしか見えませんでした。
三原は、この難題を解き明かすことが出来るのか…
読み終えて
ザ・王道ミステリ。
という感じで、超面白かったですね。
ただですね、トリックが複雑すぎる…
もし、仮に矛盾が生じていても、ぱっと見気付くことが出来ないのでは…と、思いました。
よくできた手品を見ている気持ちです。
もう一つ特筆するとしたら、女性の怖さですかね…
したたかだ…
王道推理小説が好きな方、興味がある方、ぜひ、読んでみてください~~ (^^)/
推理小説の入門編としても、持ってこいの一冊だと思います。
トリック複雑ですけど。