あらすじ|
こうと決めたら猪突猛進! 眩しいぐらいまっすぐな高校生女子が大活躍する、爽やかで甘酸っぱい青春小説の短編。高校二年生の相川早奈(あいかわ・さな)は「日替わりハケン部員」。きょうはテニス部、あすは水泳部、ソフトボール部、園芸部に写真部……。頼まれれば、臨時の助っ人として参加する。去秋、重要な試合を翌日に控え、レギュラーが捻挫したバレー部の友達に泣きつかれたのがきっかけだった。父親の長身と母親の器用さを受け継ぎ、運動神経に恵まれた早奈は以来、ひっきりなしにくる依頼に喜んでこたえ、〝ハケン〟を楽しんでいた。
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次に早奈に舞い込んだのは、演劇部部長からのSOS。10月末の文化祭でミュージカルを上演するのに、主演女優が演出家ともめて急遽降板し、代役をと懇願する。その演出家こそ、昨夏、早奈がたった4カ月だけの交際でフラれた元カレの先輩・藤見(ふじみ)だった! 失恋の痛みを引きずる早奈は引き受けるか、悩むが……。
- 主人公は女子高生 相川早奈 彼女は元彼に振られた傷を引き摺っている…思春期!
- 早奈はその傷を忘れる為、『部活の助っ人業』に精を出す
いつの間にか彼女は自他共に認める、オールラウンダーに
だからたくさん依頼されるし、そして何でも引き受けちゃう - ショートでとにかくあっという間に読めます!
青春系が好きな方にも、いつも小説を読みきれないという人にもおすすめです!
感想|
スッキリ
くだらない悩み?
高校生の、ケツの青いガキの下らない悩みだ。なんて、鼻で笑ってはいけない。みんな大小あれど、同じような重たい塊を抱えているはずである。
私はというと、最近課長と私の指導員がすごくピリピリしていて職場の居心地がよくないことが頭痛のタネである。正確にいうと腹痛のタネである。先日内科に行って胃薬と整腸剤を貰ってきた。
自分で目途を立てた『可能性』
早奈は器用。それは周知の事実となっていた。そして彼女にとってそれは、器用貧乏であることと同義で、それ以上でもそれ以下でもなかった。
なんとなく始めた助っ人業、元彼を忘れるために彼女はそれに勤しんでいた。その結果、何でもそつなくこなせることを自覚した。自分は『人よりも器用である』と分かっただけだった。器用貧乏であることが自分の個性、可能性の範囲だった。
毒でもなく、薬でもなく、スパイス
しかし、皮肉なことに(幸い、と言ってもいいのかもしれない)この活動がまた元彼を引き寄せる。
この毒にも薬にもならんような元彼だけど、振り返ってみると、早奈の可能性を引っ張り出すスパイスになっていたのだ。
最初は彼と再び近づくためのキッカケでしかなかった。なのに気づいた時には、のめり込んでいた。
演劇という手段が、手段でなくなっている。よくいう『手段の目的化』と同じ構図なのに、ポジティブな方向に転ぶというレアケース。とりあえず一生懸命に頑張ってみることの大切さ、をここから学ぶのはすこし違うか。。
と、言うよりは、誰かのために出す馬力は、自分の想像を超えてくることがしばしばあるという事か。
とりあえず、走ってみること
早奈をみていると「没頭がネガティヴを潰す(オードリー若林 著書「社会人大学人見知り学部 卒業見込」)」という言葉を思い出す。
負の感情に引っ張られている時、そんな時こそ人はとにかく手を動かすことが大事なんだろう。それが新たな可能性に繋がることもあるのかも。
恥ずかしい話ですが、本書を読んで改めて自分自身の可能性についても少し思いを馳せてみました。もしかしたら、『サラリーマンをする』以外にも能があるのかもしれない、、なんて、、(空想力だけは一人前)。
そんな妄想よりか、目の前のサラリーマンを一生懸命することがまた何かを引き寄せてくる、そう考える方が健康的ですね。
あっという間に読めます(分量的な意味でも)、すっきり!