どんな本?
殺し屋たちが新幹線の中で暴れ倒します
読み応え抜群、色んな要素がマシマシの、まさに小説界の二郎系です
バトルが始まるまでがいっちばんドキドキするんですよ、、
他に類を見ない、超疾走系、殺し屋バトルロワイヤル小説です
あらすじ
幼い息子の仇討ちを企てる、酒びたりの殺し屋「木村」。優等生面の裏に悪魔のような心を隠し持つ中学生「王子」。闇社会の大物から密命を受けた、腕利きの二人組「蜜柑」と「檸檬」。とにかく運が悪く、気弱な殺し屋「天道虫」。疾走する東北新幹線の車内で、狙う者と狙われる者が交錯する――。
「マリアビートル」伊坂幸太郎 [角川文庫] – KADOKAWA
小説は、ついにここまでやってきた。映画やマンガ、あらゆるジャンルのエンターテイメントを追い抜く、娯楽小説の到達点!
『グラスホッパー』『AX アックス』に連なる、殺し屋たちの狂想曲。
3Point紹介
要点を3つに絞って紹介します
Point① めちゃくちゃなコロシ屋たちと、悪の権化みたいな中学生
とにかく、登場人物達がめちゃくちゃなんです。。
アル中のコロシ屋、二人組のコロシ屋、毒使いコロシ屋、あり得ないくらいツイてないコロシ屋、、まだもうちょっとコロシ屋います。
コロシ屋だらけ、というのが既に異常な訳ですが、伊坂はそれだけで終わらせません。
めっちゃくちゃ悪い中学生が出てきます。悪そのものみたいな中学生です。
コイツがまた、、中学生だということを利用して、めちゃくちゃしよるんです。でもこんな野郎がね、物語の鍵を握りよるんですわ。ほんま腹立たしい。
Point② 舞台は、新幹線
物語が、なんと、はじめっからさいごまで、新幹線の中で進行します。
そんな閉鎖的、かつ限定的な空間に、大量のコロシ屋を詰め込むとどうなるのか、、
すっごいことに、なるんです
Point③ 形勢逆転に次ぐ形勢逆転 結局、誰が勝つ?
当然、何も起きることなく、目的地に着くはずがありません。ドンパチします。
ここの攻防戦が、アツいんです、、
息を呑む迫力で繰り広げられる格闘シーン。しかし、ただただ、肉弾戦だけじゃない。繊細な心理戦にも終始ハラハラさせられます
そして忘れてはいけないのは、場所は新幹線の中ということ。一般の乗客もそれなりにおるわけです。
つまり、あんまり騒げない。
目立つことが出来ないという制約の中、悪者たちはどう立ち回るのか。。
【感想文】史上最速のサスペンス劇場(速度的な意味で)
いっぱい出てくるコロシ屋達が、まあ、個性豊か。
魅力的なんですよ。。殺し屋なんですけど、、悪者なんですけど、、
各々、それぞれのミッションを抱えているんです。
ミッションの内容は、お互い相容れないもので、全員のミッションがクリアになることは絶対にあり得ないんです。
ですけど、「みんな、成功してほしい、、!」と、思わず応援しちゃう。
特に僕が気に入っているコロシ屋は、
めっちゃくちゃに運が無い男、七尾
ツイていない男オブ・ザ・ベスト。やることなす事、全部が裏目に出ます。
「この展開だけは避けたい、、」
「まさか、これ以上、状況が悪化することはないよな、、」
全部、当たります。悪い予感が。
彼が願えば願うほど、状況は悪化し、巻き込まれ、待ち構えるのは最悪の展開です。
それを、七尾自身がもう受け入れちゃってるんですね、、
受け入れるというか、諦めちゃっている。あまりに、不運に見舞われることが多過ぎて、彼の感覚が麻痺してしまったんです。
そんな可哀想な七尾ですが、不運な環境に身を置きすぎた結果、ある特殊能力を身に付けました。
窮地に追い込まれるほど、頭がめちゃくちゃ回転するんです。
なんか、、文字で見ると地味ですね
しかし、この火事場力ともいえる能力、なかなか侮れません。
どんなピンチでも、絶対に抜け出そうとする執念が凄まじいんです。言うなれば、生き残る力です。
誰もが一読すれば、そんな、推しコロシ屋が見つかる一作となっています。
ただし、この物語のポイントは、彼らだけじゃ、無いんです。
伊坂作品定番、めっちゃくちゃ悪くて、嫌な奴が、今回も出てきます。
コイツがまた、腹立つことに、物語のカギを握りよるんですよ、、
そいつ、中学生なんですね。
中学生という立場を最大限悪用して、狡猾に、あらゆる悪を尽くします。
読んでいると、はらわた煮えくるほどです
散々書きましたけども、こうゆうヤツがおるから、またストーリーの展開がおもろくなるんです。
コロシ屋達が繰り広げる、先の読めない展開に、思わず一気読みも間違い無し。
ぜひ、読んでみてください( ´∀`)