どんな本?
小学生たちが日常にひそむ色んな敵と戦います
ある時は教師に、ある時は嫌な同級生に、またある時は通り魔に
色んな奴らに立ち向かいます
あらすじ
敵は、先入観。
世界をひっくり返せ!
伊坂幸太郎史上、最高の読後感。
デビュー20年目の真っ向勝負!逆転劇なるか!? カンニングから始まったその作戦は、クラスメイトを巻き込み、思いもよらぬ結末を迎える――「逆ソクラテス」
引用:逆ソクラテス/伊坂 幸太郎 | 集英社 ― SHUEISHA ―
足の速さだけが正義……ではない? 運動音痴の少年は、運動会のリレー選手にくじ引きで選ばれてしまうが――「スロウではない」
最後のミニバス大会。五人は、あと一歩のところで、“敵”に負けてしまった。アンハッピー。でも、戦いはまだ続いているかも――「アンスポーツマンライク」
ほか、「非オプティマス」「逆ワシントン」――書き下ろしを含む、無上の短編全5編を収録。
3point紹介
要点を3つに絞って紹介します
Point① 小学生時代が主役
短編集です。各章、全て小学生時代がカギを握ります。
Point② 今だからこそ感じる あの頃のいろいろ
私たちが子どもの頃、先生は絶対的な存在でした。
先生は偉くて、先生が喋ることは間違いが無い。先生に言われたことや指示にはうなずいて従わないといけない、そんな風に思っていた人もいるかもしれません。
でも大人になった今、先生がそんな存在であるとは決して限らないことを、私たちは知っています。この物語では子ども達が彼らの目線で、そんな当たり前に疑問をぶつけます。
Point③ 子ども達は『敵』に立ち向かう
子ども達は敵に立ち向かったり、障害に道を阻まれたりしながらも、悪戦苦闘します。
敵と書くといかにも『悪者』な印象なんですが、実際はもうちょっとマイルドで『嫌な奴』くらいの感じの敵もいます。あと敵と言っても、必ずしも人が敵になるわけでは無いんです。
例えば最初のストーリー『逆ソクラテス』を例に挙げると、ここでの敵は人の『先入観』です。
人の先入観が敵って、どうゆうこと……?
【感想文】反対にすることで生まれる魅力
まずタイトルの謎にちょっと触れておきたいと思います。逆ソクラテスとは、『逆』とは何を指すのでしょうか。
そもそもソクラテスは昔の有名な哲学者ですよね。彼の言葉で有名なものの一つに『無知の知』という言葉があります。
ご存知の方もたくさんいらっしゃると思いますが、無知の知とは『俺は、自分が何にも知らない人間だという事を知っているぜ』という意味です。
その逆なんです。この物語のミソは。
やっぱりよく分からん
つまりこうゆう事です。何も知らない事を知っている人間の逆、それは『何も知らないことを分かっていない人間』です。
そんな『逆ソクラテス状態』な人間が出てくるんです。少年たちはこれに立ち向かいます。
そしてこの本にはそんな一風変わったタイトルの物語ばかりが収録されています。全てのタイトルに『ではない』とか『非』とか『逆』とか打ち消す言葉がくっついています。
これ、どうゆう意味……?
と考えながら読み進めるのも、この本の醍醐味かもしれません。
また、これは伊坂作品あるあるですが、短編集と言っても各章を超えて話がリンクしていたり、登場人物がオーバーラップしたりします。
これが読んでいると結構面白くて、僕は好きです。「さっき出てきたあいつやん!」みたいな発見があると、読んでいて楽しい。何回も前のページに戻っちゃってなかなか進まなかったりもしますが。笑
そんなわけで、読んで後悔させない面白い一冊になっています。
ぜひ(*´∇`*)