あらすじ|
「できること、やりたいこと」何もない――。大阪の一流企業の受付で契約社員として働く柳生美雨は、29歳になると同時に「退職まであと1年」のタイムリミットを迎えた。その記念すべき誕生日、雨の夜に出会ったのは売れないお笑い芸人の矢沢亨。掴みどころのない亨、その相方の弓彦、そして仲間の芸人たちとの交流を通して、退屈だった美雨の人生は、雨上がりの世界のように輝きはじめる。美雨と亨と弓彦の3人は、変てこな恋と友情を育てながら季節は巡り、やがてひとつの嵐が訪れ……。
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- 主人公は企業の受付で働くアラサーOL「美雨」 かの日本三大嬢の一つ
春雨をよく食べる しかし、別に大好きなわけではない - 高邁な目標があるわけではなく、ただ生きてきた美雨
年々、周囲の生き方に対する『圧』は強くなるばかり
そんな中、売れ始めの若手芸人「亨」たちと美雨は出会う - 『常識的に生きること』とは
美雨たちが出す答えとは…
感想|
フムフム オモロイ
人生の目標
「結婚して子供が欲しいです」
「年収1,000万越え目指しています」
「FIREして悠々自適に暮らしたいです」
「社長になりたいです」
・・・
上記は目標と呼んでも、世間的に違和感が無いとされるものの一覧だろう。
どれだけの人がこんな目標を掲げ生きているのか。
自発的に掲げている人となると、もっと少なくなる。
自分からそう思った、ではなくて「周りの人がそうしているから」とか「親が言うから」とか。
「外回りの間に食べる昼ご飯が一日の楽しみ。仕事はそんなに面白くないし、日々の生活よりも優先しようとは思えないけども、生きていくためにはしなければならない」
これは相手にされない。そもそも、目標でもなんでもないように見えてしまう。
世間で生きるということ
世間の「ちゃんと生活すること」を強制する圧力。
目指す先があることが当然だとする世論。
日々の仕事を真面目にこなして、お昼に春雨を食べているだけでは、周囲の視線が気になってしまうように頭に刷り込まれてきた。春雨には何の罪もない。
本書はその圧力との向き合い方を教えてくれる。
どんな道に進むことも肯定してくれる。
潰されることはない。間に受ける必要はない。少し立つ位置を変えれば良い。
先程の営業マンも、外回りのご飯を楽しむために、日々の仕事に取り組んでいるのなら、それもまた目的のために行動しているという点で『目標』と同じ、ということだと。言いたきは、それも良いということ。
登場人物それぞれが選んだ道。
どうしてその道を選んだのか、その経緯に触れることで、自分の目の前にはたくさんの選択肢が広がっていることを感じられる。
モヤモヤでいっぱいいっぱいの体にも、少しゆとりが生まれる。これでいいんだ、と思う事は必ずしも怠惰ではないのだ。
先を思案するのではなく、今を生きることが大事なのかもしれない
将来どうんすの、という声も聞こえそう。
せやけど、うるさい。
余裕が考える力を生む。
考えることが出来ると、集中できる。一生懸命、何かに。
おススメ(全然本編と関係ない)
芸人ってほんまにすごいですよね。リスペクトしかないです。
個人的に好きな芸人を紹介します。コマンダンテとからしれんこんです。
好きなネタも載せます。
ティッシュ配りと土下座らず、ベストムーブです。
からし蓮根、ほんまはホストのやつ載せたかったのですが見つかんなかった。
よければ、ぜひ。